ジグボーラーの要であるバイトをグラインダーで研ぐ作業は、各技術者の腕に委ねられます。バイトの研ぎ方の修練のために必要なのは、経験以外の何ものでもありません。当社の熟練の技を持つ技術者は、まずジグボーラーを操るための最も基本となるバイトの研ぎ方が一流であると評価されています。
例えば100.5ミリの位置に機械を動かして位置決めをするとします。通常の技術者であれば、多少アナログ的な感覚にも頼りながら、100.5ミリの位置を狙いながらも多少の誤差も見込んで位置を決めます。当社の技術者は、どちらかというとデジタル的な感覚で正確に狂いなく位置決めをしているような印象です。削りについても一回で仕上げるのではなく、仕上がりの寸法よりも若干小さい寸法で削り、その位置を再度確認して、修正を重ねていく作業方法です。ジグボーラーは元来、精度が出る機械なのですが、更に作業環境の温度、「逃げる」部分を考慮して最終的に仕上がり寸法が出るように作業をします。
ジグボーラー技能検定一級を取得している技術者が、当社の自慢の設備である7CMという精密ジグ中ぐり盤(三井精機製)を使用することにより、技術者の才能が更に開花する環境にあると考えています。また、当社に依頼が来る仕事は、単品のもので且つ、ミクロン単位の精度を求める仕事が多いのですが、このように多様なお客様の多様な図面をこなしていく中で、技術者のスキルが伸びる土壌が当社にはあります。ジグボーラーを扱う高度熟練者である技術者だけでなく、その前工程を担当する技術者もチームワークを持ち、互いが仕事をやりやすくする配慮をしているのも当社の特徴です。そのようなチームワークの中で、当社では若手技術者も、高度熟練者の仕事ぶりをつぶさに見ながら、また直接指導を受けて育ちます。ジグボーラーで3名、平面研磨で1名の高度熟練技術者を核とした体制で、当社は厳格な寸法精度を追求しています。
この業界では量産の分野へ力を入れている会社も多い一方で、当社は創業時から一貫して治工具など単品ものを中心とした製作を手がけています。そのためには高度熟練者の養成が課題です。当社ではOJTも重視しながら、長期視点に立った計画的な教育プログラム策定を進めています。ジグ中ぐり盤を保有する会社は非常に少数で、またジグ中グリ盤検定一級の資格取得は極めて難関です。当社では、そうした難関をくぐり抜けた資格取得者が若手技術者に移動するOJTにより、技術力養成に努めています。また刃物の進化に伴い加工面が向上したりと業界の中でも進歩があります。そうした動向を把握し、業務に必要な理論的な知識を得るために、外部研修に積極的に社員を参加させています。 また社内研修として入社3年以内の若年技術者を対象に隔週木曜日に勉強会を開催しています。ここでは当社役員が講師となり、刃物の素材・性質、材料の性質・原価、図面の見方などを教育しています。これらの教育体系の成果として後継技術者が着々と育っています。